【燃費】コージェネレーションシステムガスエンジンの発電効率や総合効率の計算方法

エンジン

定置用の発電エンジンでは、燃料消費量(〇〇m3N/h)もしくは発電効率(〇〇%)という単位で、エンジンの燃費性能を表しています。今回は、そんな陸上発電エンジン(コージェネレーションシステム)の発電効率や総合効率の計算方法について紹介します。発電効率の計算方法は、設計者だけでなく発電所や工場の運用者・管理者にとっても、エネルギー管理や環境負荷への影響評価という観点で大事になります。エンジンが消費するエネルギー量に対して、どれだけの電力を生み出しているのか、ぜひ理解を深めて頂ければと思います。

発電効率の計算方法

陸上のコージェネレーションシステムとして、よく使われるヤンマー社のEP800Gというガスエンジンを例に、発電効率の計算方法を紹介します。カタログによると、定格発電出力800kWで、燃料は都市ガス13Aを使用し、燃料ガス消費量は172.2m3N/hと記載されています。また、都市ガス13Aの低位発熱量は40,600kJ/m3Nとなります。

発電効率も熱効率(η)と同じように、「供給した熱量Q1」と「実際に取り出した仕事Q2」の割合で計算することができます。計算式で表すと、η=Q2/Q1になります。

今回、Q1の燃料を用いて投入した低位発熱量は、1時間当たりの発熱量(kJ/h)の単位で表すと、以下の通りになります。

Q1(kJ/h) = 低位発熱量 (kJ/m3N) X 燃料ガス消費量 (m3N/h)

Q1 = 40600 X 172.2 =6991320 kJ/h

一方、Q2は実際の仕事(発電出力)になりますので、1時間当たりの仕事(kJ/h)で表すと、以下の通りになります。(kWの単位はkJ/sと同じですね)

Q2(kJ/h) = 出力 (kW=kJ/s) X 3600 (s/h)

Q2 = 800 X 3600 =2880000 kJ/h

上記の計算式は、kWhの電力量を求めている事と同じ意味になります。

Q2 ÷ Q1を計算すると、0.4119 = 41.2%になりますので、発電効率41.2%のガスエンジンとなります。

総合効率の計算方法

コージェネレーションシステムのガスエンジンでは、温水による熱回収も行っています。そのため、発電出力だけでなく熱回収量も足し合わせた総合のエネルギー効率を示す指標として総合効率が使われています。温水による熱回収量は633kWとカタログに記載されています。発電出力800kW+温水回収熱量633kW = 1433kWを分子にして、先ほどの熱効率の式で計算すると、総合効率を求めることができます。

η = 1433 X 3600 ÷ ( 40600 X 172.2 ) = 0.7379 ≒73.8%

上記の計算により、総合効率は73.8%と求める事ができます。

このように、エンジンの発電効率はそこそこですが、熱回収も考慮した総合効率で計算すると、非常に優れたエネルギー効率を有している事がわかると思います。これがコージェネレーションシステムのメリットの一つになります。

まとめ

今回は、コージェネレーションシステムのガスエンジンを例に、発電効率や総合効率の計算方法を解説しました。実際に運用しているガスエンジンや家庭で使っているエネファームでも同じように計算できますので、実際どのくらいで運用できているのか、熱効率を計算してみると面白いと思います。

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