【簡単解説】過給機(ターボチャージャー)の性能・効率の計算_その1

過給機 エンジン

過給機はエンジンの出力を向上させる重要な部品で、サイクル論で説明した通り、ポンプ損失をポンプ仕事に変えたり、ミラーサイクルの組合せが良かったりと、エンジン性能の面でも様々な効能があります。過給機の性能や効率を把握することはエンジン性能を改善することにつながりますので、今回は過給機の性能・効率の計算方法について、紹介します。

過給機とは

過去の記事で過給機について紹介しましたが、今回は性能の観点で説明します。過給機は出力ゼロのガスタービンと捉えることができます。そのため、過給機は排気タービンによって与えられた仕事を、コンプレッサ翼で圧縮空気として返す仕事の割合で、過給機効率を評価することができます。その際、タービン翼とコンプレッサ翼それぞれの断熱効率が高いことが重要となります。

過給機効率の計算方法その1

過給機効率の計算方法には主に2種類あります。1つ目がブロワ効率とタービン効率と機械効率を掛け合わせた値を過給機効率として使用するものです。(2つ目の計算方法は次回紹介します。)

過給機効率=ブロワ効率×タービン効率×機械効率 という式で表されます。

ブロワ効率は、[πc^{(κ-1)/κ} -1 ]/ (Tc / Tin -1)です。

πc:圧力比 κ:空気の比熱比(1.4を通常用います) Tc:ブロワ出口温度 Tin:ブロワ入口温度

タービン効率は、(Tout / Te -1) / [(1 / πt)^{(κ-1)/κ}-1]です。

πt:膨張比 κ:排ガスの比熱比(1.36程度を用います) Tout:タービン出口温度 Te:タービン入口温度

機械効率は、大体90%くらいを使います。

例えば、圧力比πc:4.0、Tc:473K、Tin:293K、膨張比πt:3.0、Tout:560K、Te:730Kとすると、

ブロワ効率は79.1%、タービン効率は92.3%と計算できます。

過給機効率は、0.791 x 0.923 x 0.90 = 65.7% と算出できます。

補足説明(圧力比と膨張比)

ここで、圧力比と膨張比について、補足説明します。圧力比はブロワの入口圧と出口圧の絶対圧の比です。例えば、ブロワ入口が大気圧の0.1013MPa_Aで、出口の給気圧が0.4052MPa_Aの場合、0.4052 / 01013 = 4.0で圧力比が4.0となります。

膨張比も似ていまして、タービンの入口圧と出口圧の絶対圧の比です。例えば、タービン入口圧(エンジンの排気圧)が0.3099MPa_Aで、タービン出口が0.1033MPa_A(ゲージ圧で2kPa)の場合、0.3099 / 0.1033 = 3.0で膨張比が3.0となります。

まとめ

今回は過給機効率の計算方法の1種類目を紹介しました。次回は2種類目を紹介しますので、引き続き、ご確認お願いします。

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