【簡単解説】ロータリーエンジンの仕組みと特徴

エンジン

ロータリーエンジンは、エンジンの一種ですが、ユニークな構造をしています。ロータリーエンジンの最大の特徴は、熱エネルギーを使ってピストンではなく「ローター」と呼ばれる装置を回転させ、動力を生み出すところです。ドイツの技術者ヴァンケルによって1950年代に開発されました。

ロータリーエンジンの仕組み

レシプロエンジンと同じように、「吸気」「圧縮」「燃焼・膨張」「排気」の4行程がありますが、構造がまったく異なります。ローターと呼ばれる部品の回転とともに吸入した混合気が圧縮され、点火プラグの着火により燃焼する仕組みになっています。下の図では三角形の一辺だけで燃焼を行っていますが、実際には残りの二辺でも4行程が進行しています。このため、ローターが1回転する間に3回の燃焼・膨張行程が行われることになり、常に安定した回転を生み出せます。

ロータリーエンジンの仕組み

【吸気行程】ローターの三角形の一辺とハウジングとのすきまに、吸気孔から混合気が吸い込まれます。

【圧縮行程】ローターの回転とともに、すきまは狭くなり、混合気が圧縮されます。

【燃焼・膨張行程】圧縮が限界に達すると、点火プラグが着火されます。すろと混合気が急激に燃焼・膨張してローターを押し、回転する力になります。この力によって、動力が生み出されます。

【排気行程】さらにローターが回転すると、燃焼したガスは排気孔から外へ排出されます。

ロータリーエンジンの特徴

ロータリーエンジンはピストンやバルブなどの動弁系を必要としないため、構造は極めてシンプルです。小さいスペースで高出力が実現でき、振動や騒音が少ないというメリットもあることから、1970年代にはロータリーエンジンの搭載車が次々に開発されました。しかし、吸排気効率や熱効率の面でレシプロエンジンに劣り、燃費が悪くなってしまう欠点がありました。このため、現在ではロータリー車を市販する自動車会社はマツダのみになりました。

近年では、水素を燃料にした水素ロータリーエンジンの研究が進んでいます。これは、ロータリーエンジンが構造的に火災を起こしにくく、水素エンジンに向いているためです。また、一定回転数で使う発電専用エンジンとして、ハイブリッド車にも適しているということで、見直されています。

まとめ

ロータリーエンジンは、動力を生む燃焼行程はレシプロエンジンと同じだが、動力はピストンではなくローターと呼ばれる部品の回転運動として出力されます。これらの部品構成や構造の違いが最も大きな特徴になっています。

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