【簡単解説】過給機(ターボチャージャー)の性能・効率の計算_その2

過給機 エンジン

前回は過給機効率の計算方法の1種類目や圧力比・膨張比の計算方法について、紹介しました。今回は過給機効率の計算方法の2種類目を紹介します。

過給機効率の計算方法その2

過給機効率の計算方法には主に2種類ありますと前回に説明しまして、ブロワ効率とタービン効率と機械効率を掛け合わせて過給機効率を算出する方法を紹介しました。今回は排気タービンで得られた仕事とブロワ翼が与えた仕事の比率がら算出する方法を紹介します。この方法での過給機効率計算は複雑な計算式になるのですが、概念を説明しますと以下の通りです。

過給機効率=流量比×低圧比熱の比×温度の比x仕事の比 という式で表されます。

流量比は、ブロワ流量 / タービン流量です。(通常はタービン流量=ブロワ流量+燃料流量になります。)

低圧比熱の比は、空気の低圧比熱 / 排ガスの低圧比熱です。

温度の比は、ブロワ入口温度 / タービン入口温度です。

仕事の比は、[πc^{(κa-1)/κa} -1 ] / [1-(1 / πt)^{(κe-1)/κe}]という式になります。

πc:圧力比 κa:空気の比熱比 πt:膨張比 κe:排ガスの比熱比 です。

ここで、すべての分子が空気に関する項で、すべての分母が排ガスに関する項になっている事に気付くと思います。前回の式は簡易的に求められる式でしたが、その分、機械効率という不確かさがあり正確性には欠けていました。そのため、今回の計算方法の方が正確で、詳細な性能評価を行う際には、今回の式を使う方が適しています。

計算例

ブロワ流量とタービン流量は計測した数値を使います。(タービン流量はタービン特性を利用して算出する方法や排ガスの成分計測結果から算出する方法などがあります。)ここでは、ブロワ流量1に対して、タービン流量が1.02だとします。

次に、空気の低圧比熱は1.01kJ/kgKとし、排ガスの低圧比熱は1.12kJ/kgKとします。

そして、ブロワ入口温度は293K、タービン入口温度は730Kとします。

最後に、πc:4.0 κa:1.4 πt:3.0 κe:1.36とします。 

流量比と低圧比熱の比を掛け合わせると0.884、温度の比が0.401、仕事の比が0.48599 / 0.25234になりますので、それぞれ掛け合わせると、68.3%になります。

まとめ

今回と前回で、過給機効率の計算方法について、解説しました。過給機性能は、エンジン性能に最も影響を与える部品の一つです。過給機の性能や効率を正確に把握して、エンジン性能の改善につながれば幸いです。正確な評価が求められる時には、その2の方法で評価することをオススメします。

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