エンジンの種類は用途や構造に応じて様々なものがありますが、トランクピストン型とクロスヘッド型は基本的なエンジン構造が違います。それぞれの特徴や用途について理解することで、エンジンの仕組みや構造をより深く理解することができるようになります。今回はこれら2種類のエンジンの違いと特徴をわかりやすく解説します。
トランクピストン型とは
トランクピストン型エンジンは、自動車エンジンや発電用エンジンなどの大多数のエンジンに採用されている構造です。特に、現在の4ストロークエンジンではほぼ100%の割合でトランクピストン型が採用されています。

- 構造の特徴:ピストンとコンロッド(連接棒)がピストンピン軸受(小端部軸受)によって接続されています。そして、ピストンがシリンダー内を上下運動する際にスラスト力が発生するのですが、ピストンやピストンスカートがシリンダー壁に沿ってスラスト力を受けながら上下運動する役割を担っています。
- メリット:構造がシンプルで、コストを抑えられる点が最大のメリットです。エンジンサイズも小さくできますので、自動車エンジンなど小型エンジンに特に適しています。
- デメリット:ピストンやピストンスカートがスラスト力(横方向の力)を受けますので、摩耗が激しく、部品の耐久性が低くなります。
クロスヘッド型とは
クロスヘッド型エンジンは、大型船舶用の2ストロークディーゼルエンジンで主に採用されている構造です。

- 構造の特徴:ピストンにピストン棒と呼ばれる部品が付き、ピストン棒はクロスヘッドと呼ばれる部品に固定されています。また、クロスヘッドはコンロッド(連接棒)とクロスヘッド軸受によって接続されています。そして、ピストンやピストン棒がシリンダー内を上下運動するのですが、スラスト力はクロスヘッドと架構(クランクケース)の滑座と呼ばれるレールで受け持っています。
- メリット:クロスヘッド機構によって、ピストンが横方向のスラスト力を受けにくいため、部品の耐久性が高いです。また、潤滑油の系統はシリンダ内とクランクケース内で独立していますので、燃焼室用と軸受等の潤滑用で別々に最適化された潤滑油を使うことが可能になります。さらに、ピストンストロークを長くロングストローク化できるメリットもありますので、それによって熱効率を上げることが可能になります。
- デメリット:構造が複雑で部品コストや製造コストが高くなり、エンジンサイズも大きくなります。
トランクピストン型とクロスヘッド型の違いと特徴
トランクピストン型とクロスヘッド型の違いと特徴を以下の表の通り、整理しました。それぞれに特徴がありますので、エンジンの使用目的に合わせて、設計の初期段階でどちらの方式にするかを決めておくべき基本的なスペックになります。
トランクピストン型 | クロスヘッド型 | |
---|---|---|
主な用途 | 自動車エンジンや発電エンジンなどほぼすべてのエンジン | 舶用大型2ストロークディーゼルエンジン |
構造 | ピストンとコンロッドが直接接続される | クロスヘッドがある |
耐久性 | ピストンの摩耗が心配 | 比較的高い |
メリット | 安価・コンパクト | ロングストローク化できる、効率(燃費)などの性能が良い、信頼性が高い |
デメリット | 耐久性が劣る | 潤滑油が2系統必要になる |
まとめ
トランクピストン型とクロスヘッド型の違いや特徴について、解説しました。今回の記事を通じて、エンジンの仕組みや構造のより深い理解につながれば幸いです。
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