256【簡単解説】4ストロークエンジンの性能や仕組みを理解するためのサバテサイクル

4ストのサバテサイクル エンジン

2ストロークエンジンのサイクルがシンプルでわかりやすので、前回までは2ストロークエンジンを例にして、オットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクルなどを紹介してきました。今回は、4ストロークエンジンのサバテサイクルと2ストロークエンジンとの違いを紹介します。これらの違いを理解することで、エンジン性能や仕組みをより深く理解できるようになります。

4ストロークエンジンのサバテサイクル

4ストロークエンジンのサバテサイクルは以下の図のようになります。2ストロークエンジンと比べると、4⇒5⇒6⇒1のプロセスが増えているのがわかると思います。

4ストのサバテサイクル

1⇒2のプロセスは断熱圧縮でしたね。ピストンが燃焼室内の気体を高温高圧の状態に圧縮する圧縮行程を示しています。

2⇒3’のプロセスは等容変化で、3’⇒3は等圧変化でしたね。燃焼・膨張行程の燃焼部分を示しています。

3⇒4のプロセスは断熱膨張でしたね。燃焼・膨張行程の膨張部分を示しています。

4⇒5のプロセスは等圧変化で、ここから4ストローク独自のサイクルになります。排気弁が開き、ピストンが下死点から上死点へ上がることで、燃焼ガスがシリンダから排気管へ排出されることを示しています。エンジンの4行程では、排気行程に当たります。PV線図ではピストンが上がることでシリンダー内容積が減りますが、排気弁が開いていますので、圧縮されることなく、等圧で変化しています。

5⇒6のプロセスは等容変化です。排気弁が閉じて、吸気弁が開きます。ここでは、この動作が一瞬で行われることを示していて、排気管の圧力から吸気管の圧力に一気に変化します。燃焼室内の排気ガスが一瞬で新気に入れ替わるので、PV線図は体積一定のままで、圧力のみが減少しています。

6⇒1のプロセスは等圧変化です。ピストンが上死点から下死点へ下がることで、新気が吸気管からシリンダー内へ流入してくることを示していて、吸気行程に当たります。PV線図ではピストンが下がることで容積が増えますが、吸気弁が開いていますので、膨張することなく、等圧で変化しています。

このように4ストロークエンジンでは、排気・吸気行程がシリンダー容積の変化を伴いつつ行われる点で、2ストと異なります。

サバテサイクルの仕事や熱効率の考慮方法

PV線図の面積が仕事を表していまして、これまでは面積1-2-3′-3-4-1が正味仕事だったので、この面積を求めれば良かったですね。しかしながら、4ストロークエンジンでは、面積4-5-6-1-4が負の仕事(ポンピングロス)をしていますので、この面積も差し引いて評価する必要があります。

よって、熱効率は、(“正味仕事”-“ポンピングロス”)÷”投入熱量”で求めることになります。

まとめ

今回は、4ストロークエンジンのサバテサイクルについて解説し、2ストロークエンジンとの違いとして、ポンピングロスがPV線図として現れてくることを紹介しました。次回は、4ストロークエンジンの様々な損失(ロス)について、簡単解説しますので、お楽しみにしておいてください。

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