155_エンジン部品のカムシャフトの仕組みと構造を簡単解説

カムシャフトの仕組み エンジン

エンジンの駆動系と呼ばれる重要な部品構成の一つに「カムシャフト」があります。今回は、エンジンの仕組みを理解するための基礎知識として、カムシャフトについてわかりやすく解説します。

カムシャフトの仕組みと構造

前回の記事で、吸気弁や排気弁の開閉動作をさせる「カム」について説明しましたが、「カムシャフト」は以下の図のようなイメージで、複数のカムを串刺しにしたような形でつなげた構造をしています。4シリンダーなどの多シリンダー(多気筒)エンジンでは、シリンダー毎に多数のカムが付いていますので、カムシャフトによってつなげて、回転動作させています。カムシャフトが回転することによって、カムも回転し、さらにその先の吸気弁・排気弁の開閉動作を駆動させるという仕組みになっています。

カムシャフトイメージ図

カムシャフトに取り付けられるカムの凸部の向きは、シリンダーごとに異なっています。これによって、バルブが開閉するタイミングがズラされ、各シリンダーの点火順序が変わります。このように、カムはクランクシャフトとともにシリンダーの点火順序を決定する重要な役割を果たしています。

カムシャフトの端には「カムシャフトプーリー」という滑車が取り付けられており、カムシャフトプーリーは「タイミングベルト」というベルトを通じてクランクシャフトと接続しています。ピストンが往復運動を行い、クランクシャフトが回転すると、自動的にカムシャフトも回転してバルブが開閉することになります。このようにカムシャフトなどの駆動系や吸気弁・排気弁などの動弁系は、エンジン自体の運動エネルギーを利用して作動しています。

カムシャフトの回転数とクランク軸の回転数は異なる?

この質問はよく頂くのですが、4ストロークエンジンの場合は、カムシャフトの回転数とクランク軸の回転数は異なります。なぜなら、エンジンの4行程が一巡する間にクランク軸が2回転して、カムシャフトは1回転するからです。(4ストの場合、排気と吸気の行程が2回転で1回のみだからです)。そのため、4ストエンジンでは、駆動力の伝達の途中で減速ギヤなどを経由することで、回転を2分の1に減速させています。また、タイミングベルトの代わりにチェーンが使われることもあります。

2ストロークエンジンの場合は、カムシャフトの回転数とクランク軸の回転数は同じです。なぜなら、2ストの場合、クランク軸が1回転する毎に毎回、排気と吸気の行程も行われるからです。

まとめ

今回はカムシャフトの仕組みや構造について紹介しました。カムシャフトはエンジンのカム動作やバルブ動作を制御する重要な部品です。カムシャフトなどの駆動系はまだまだ奥が深い機械部品になっていますので、次回はさらなる詳細として、バルブシステム(タイミングベルトやカムシャフトの配置など)について、紹介します。これら駆動系の仕組みを知ることで、エンジンの基本動作に対する理解が深まれば幸いです。

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