車のエンジンで「ガソリンエンジン」と「ディーゼルエンジン」がありますが、それらの仕組みや特徴には大きな違いがあります。一言でわかりやすく言うと、燃料にガソリン(レギュラー)を使うか、軽油(ディーゼル油)を使うかの違いですが、もっとくわしく解説していきます。
ガソリンエンジンの仕組み
ガソリンを燃料に使うことが最も大きな特徴です。吸気行程で、ガソリン(揮発油)と空気を混ぜた混合気を燃焼室内に吸い込ませます。その後、混合気を圧縮して、燃焼・膨張行程で、点火プラグを使って着火・燃焼させます。
ディーゼルエンジンの仕組み
ディーゼルエンジンでは、吸気行程で、混合気ではなく、空気のみを燃焼室内に吸い込ませます。その後、空気を圧縮して、空気の温度が600℃以上となるようなレベルまで高温高圧に圧縮します。そして、燃焼・膨張行程で、燃料噴射弁(インジェクター)からディーゼル油(軽油)を噴射して、高温の環境下によって燃料の自然着火(自着火)を起こさせて燃焼を開始します。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い
1.燃料の種類
ガソリンを燃料とするガソリンエンジン(ガソリン車)と違って、ディーゼルエンジン(ディーゼル車)は軽油(ディーゼル油)を燃料に使います。軽油とは、ガソリンよりも揮発性が低い燃料で、安全で安価です。重油よりは軽い燃料油なので、軽油と呼ばれています。たまにある間違いです、軽自動車や軽トラックだからといって、間違えて軽油を入れないように気を付けましょう。軽自動車や軽トラックでもガソリンエンジンを積んでいますので、レギュラーガソリンを使います。
2.点火(着火)方式
ガソリンエンジンは「点火プラグ」を使って着火させる点火方式を採用しています。また、予め空気と燃料を混ぜた混合気を作ってから燃焼させるので、「予混合燃焼」という燃焼方式を採用しています。一方、ディーゼルエンジンは燃焼室内で空気をガソリンエンジンの約2倍に圧縮して高温にし、燃料を噴射して自然着火(自着火)させる方式になります。燃焼としては、空気中に燃料を拡散させて噴射・燃焼させるので、「拡散燃焼」という燃焼方式を採用しています。点火方式の違いによって、構造としては、点火プラグを使うか燃料噴射弁(インジェクター)を使うかという違いもあります。
3.特徴
ディーゼルエンジンは、エンジンの構造が簡単になる、熱効率・燃費が良い、高出力などのメリットがあります。一方、高圧に耐えられるように頑丈につくる必要があり、エンジンは大きく、重くなりやすく、また、騒音が大きくなるなどの欠点があります。また、排気ガスにはPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)が含まれており、かつては環境に悪いイメージがありましたが、現在は燃料噴射装置・排ガス後処理装置や燃料の改善などによって有害物質は低減され、排ガスはクリーンになっています。ディーゼルエンジンは基本的には長距離走行車やトラックなどの大型車に適していますが、地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)の排出量がガソリンエンジンより少ないという利点もありますので、クリーンディーゼルとして欧州や日本でも見直されています。
ガソリンエンジンは小型で軽くて安いので、広く使われています。そのため、入手性も良くなっています。また、騒音が少ない、加速性に優れているなどの利点もあります。ガソリンエンジンは小型車やスポーツカーに多く使われていまして、また、ハイブリッド技術との組み合わせも良いので、ハイブリッド車にも広く使われています。
まとめ
ガソリンエンジン:点火プラグを使って、予混合燃焼させている。小型軽量で多くの車に使われていて、レギュラーガソリンを燃料としている。
ディーゼルエンジン:燃料噴射弁を使って、拡散燃焼させている。燃費が良いので大型車に多く使われていて、軽油を燃料としている。
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