自動車やバイクなどのエンジン性能を示すとき、必ず登場するのが「出力」と「トルク」です。そしてたまに「馬力」という表現も登場します。エンジン設計をする上でも基本的な指標になりますが、実は奥が深いものになっています。今回は、出力、馬力、トルク、それぞれの意味や違い、換算方法を解説します。
出力とは、馬力とは
「出力」とは単位時間あたりに発生するエネルギー量のことで、単位は”kW”で表します。kWはkJ/sと同じ意味ですので、1秒間当たりのエネルギー量(熱量)(仕事)を示している事と等価です。
出力は古い呼び方では「馬力」と言いまして、単位系が異なるのみの違いです。単位は”PS”で表されます。温度を摂氏で表現するのか華氏で表現するのかの違いと同じようなものと理解して頂いて問題ないです。現在では、SI単位系で統一されていますので、基本的に「出力」と呼ぶ方が正しいです。
出力は英語で、outputもしくは、powerと呼ばれることが多く、馬力は英語でhorse powerと呼ばれます。換算式は以下の通りで、1kWは約0.7355馬力です。
1 kW = 0.7355 X PS
100馬力と言うと、73.55kWになります。自動車用エンジンくらいのサイズですね。
ちなみに、鉄腕アトムは10万馬力ですが、出力で表すと、73,550kWになります。約400mの超大型のコンテナ船の主機として使われる11シリンダでボア95cmという超大型の2ストロークディーゼルエンジンがそれくらいの出力(馬力)になります。鉄腕アトムはあんなに小さいのにすごく力持ちですね。
トルクとは
「トルク」とは、物体を回転させる力のことで、エンジンにおいては出力軸を回転させる力になり、単位は”kNm”で表されます。トルクは、出力とは違って時間に関する項が無いですので、単に力(加速させる力、重いものを動かす力)を示します。
出力とトルクの換算方法
出力とトルクの関係式は、以下の通りとなります。
出力 (kW) = トルク (kNm) X 回転数 (rpm) / 60 X 2 X π
簡単に意味を説明すると、「出力=トルクXエンジン回転数」ということです。もう少し厳密に説明すると、角周波数である2 X π X f(rad/s)を回転するモーメント力(kNm)に掛け合わせたものが出力kWとなります。
出力とトルクそれぞれの特徴
出力が大きいと、トップスピードが速い、発電量が多い、などの特徴があります。
トルクが大きいと、加速性が良い、重い荷物を運べる、などの特徴があります。
まとめ
「出力」「馬力」「トルク」について説明し、換算方法も紹介しました。自動車やバイクを選ぶときやエンジン設計などでお役に立てれば幸いです。
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