「スロットル」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?スロットル全開というと、全速力を出すというイメージがあると思います。その通りで合っています。アクセルを踏んで自動車を加速させる時、エンジン側でそのコントロールを受ける大元の部品はスロットルバルブという部品になります。その部品の名前がスロットル全開の由来になっています。自動車用やバイク用のエンジンでよく使われている部品なのですが、今回はそんなスロットルバルブについてわかりやすく解説します。
スロットルバルブとは
シリンダーに送り込む空気の量を調節する部品がスロットルバルブです。ドライバーがアクセルを踏むと、それに反応してバルブが開閉します。これにより、供給する空気の量つまり酸素の量を調節し、燃焼の速度を変えることができます。アクセルペダルを踏むと(バイクではグリップを回転させると)エンジンの回転数が変わって車両が加速するのは、このような仕組みによるものです。
スロットルバルブは、吸気ダクトの途中のスロットルボディと呼ばれる箇所に設置されています。アクセルペダルを踏み込むと、それに比例してバルブは大きく開き、吸気量も増していきます。アクセルペダルを戻すとバルブは閉じ、空気の流れが止まります。ただしこのときにエンジンが止まっては困るので、スロットルボディにはバルブが閉じた状態でも少量の空気を流すバイパス通路が設けられています。バイパス通路からの空気のみでエンジンが稼働している状態が「アイドリング」です。
- バルブ開:バルブが全開の状態では、空気が勢いよくシリンダーに送り込まれます。上の図でバルブの板が縦向きの実線の位置が全開を示しています。
- バルブ閉:バルブが閉じた状態では、バイパス通路からの微量の空気がシリンダーに送り込まれます。この状態がアイドリング状態で、もっとも低回転・低出力の状態になります。上の図で、バルブの板が横向きの破線の位置が全閉を示しています。(実際には、バイパス通路という通路もありますが、上の模式図では省略しています。)
豆知識:スロットル・バイ・ワイヤ
昔の自動車はアクセルペダルとスロットルバルブがワイヤで機械的につながっていて、バルブの開閉を調節していました。しかしながら、現在の自動車では、スロットルバルブを「バイ・ワイヤ」と呼ばれる電子制御方式で作動させています。バイ・ワイヤでは、アクセルペダルとバルブは実は機械的につながっていないです。アクセルペダルに付属するセンサからECUを介してバルブに電気信号が送られ、開閉を行っています。バルブの開き具合はバルブ側のセンサからECUに通知され、それによりさらに開度の微調整が行われます(ECU:エレクトロニックコントロールユニット、エンジンを制御する中枢部の部品です)。実は今はアクセルで踏んでスロットルバルブを操作している風の構成になっています。バイクのエンジンも同様で、グリップのアクセルとスロットルボディが機械的に繋がっておらず、電気モーターで開閉しているだけになっています。
まとめ
今回は自動車の加速・減速をコントロールする大元の部品であるスロットルバルブを紹介しました。皆さんがアクセルペダルを踏むのは、実はスロットルバルブを開けていることに他ならないのです。スロットルの仕組みを知ることで、エンジンの知識や皆さんの愛車への理解が深まりましたら幸いです。
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