110_ハイブリッド車の種類・仕組みと各社の特徴・違いを解説

ハイブリッド車とは、複数の動力源を搭載した自動車をさします。一般的にはガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた動力源になりますので、それらハイブリッド車の機器構成として、種類や仕組み、さらに各社のハイブリッド車の特徴や違いについて、わかりやすく解説します。

ハイブリッド車の種類と仕組み

ハイブリッドシステムは、自動車メーカーや車種によって異なる方式が採用されています。エンジンとモーターの使い方によって、大きく3つの方式に分けられます。「シリーズハイブリッド方式」、「パラレルハイブリッド方式」、「シリーズ・パラレルハイブリッド方式」の3つです。いずれの方式も「エネルギー効率の向上」「騒音、振動の緩和」「排出ガスの低減」といった狙いで考案されています。

シリーズハイブリッド方式の仕組み

下の図のように、「シリーズハイブリッド方式」は、エンジンで発電機を回して電気をつくり、バッテリーに充電し、その電気を使ってモーターでタイヤを駆動しています。エンジンが直接タイヤを駆動させることはないです。電気自動車の技術がベースにあって、走行距離が短い欠点を補うために、エンジンで充電するという方式になります。

パラレルハイブリッド方式の仕組み

「パラレルハイブリッド方式」は、エンジンとモーターが並行して駆動にかかわる方式です。それぞれの動力を単独で駆動させることも、両方を組み合わせて駆動させることもできます。走るときはエンジン主体であり、発進時や加速時など、エンジンが燃料を多く消費するときにモーターでサポートします。エンジン自動車の技術がベースにあって、モーターを補助的に使うという方式です。

シリーズ・パラレルハイブリッド方式の仕組み

「シリーズ・パラレルハイブリッド方式」は、モーターだけで走ることもできれば、エンジンとモーターを両方使って走ることもできます。発進時や低速時はモーターのみで走行し、通常走行時はその両方を使い分けます。両方の方式の良いところを最大限に活かした方式になります。その分、構成機器は増えるという欠点があります。

各社の特徴と違い

日産が販売しているe-POWERは、「シリーズハイブリッド方式」になります。エンジンを使って、バッテリー(リチウムイオンバッテリー)を充電しています。

ホンダの初代インサイトのIMAシステムなどは「パラレルハイブリッド方式」になります。エンジンは常に動いていて、モーターが発進時や加速時にアシストとして使われます。（最近のホンダのハイブリッドシステムも以下のシリーズ・パラレルハイブリッド方式になっています。）

トヨタのプリウスなどは「シリーズ・パラレルハイブリッド方式」になります（スプリット方式とも言います）。モーターのみでの走行もでき、エンジンとモーターの良いところを引き出すことができる一方、制御が複雑になるというデメリットもあります。

ハイブリッド車の利点

ハイブリッド車は、アクセルを離したりブレーキをかけたりすると、モーターを発電機として作動させてエネルギーを回収し、バッテリーに充電する仕組みになっています(回生ブレーキ)。従来車では熱として捨てていたエネルギーを電気に変換して再利用しています。また、自動車が停止すると、自動的にエンジンも止まるため(アイドリングストップ)、ガソリンを無駄に消費することもないです。さらに、モーターを併用している分、ガソリンエンジン車に比べ、NOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)など有害ガスの排出量を減少させることができます。またガソリンの使用量も、CO₂(二酸化炭素)の排出量も大幅に減らせるので、環境への負荷を低減させることができます。

まとめ

今回はハイブリッド車の種類や仕組み、各社の特徴や違いを紹介しました。ハイブリッド車は、回生ブレーキ、アイドリングストップのおかげで、燃費にも環境にも優しい自動車になっていますので、ぜひ比較検討に使ってください。

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