165【簡単解説】点火装置と点火プラグの仕組み

点火プラグ エンジン

ガソリンと空気の混合気はどのようにして点火されているかご存じでしょうか?点火プラグ(スパークプラグ,スパークイグニッション)という部品で火花を作り点火させています。エンジンの4行程のうち、燃焼・膨張行程では混合気に着火を行う必要があり、この機能を担うのが点火装置です。今回は、エンジンの信頼性にとって最重要な点火プラグについて、簡単に解説します。

点火装置の概要

点火装置は、バッテリーに蓄えられた電力を利用して、着火しています。点火装置としては、下図のような機器で構成されていて、バッテリーの電流は、イグニッションコイルで高圧電流に昇圧されたのち、ディストリビューターから点火プラグに配電されます。

点火装置

点火装置の仕組み

自動車では安全のために低圧電流が使われますが、着火には1万ボルト以上の高圧電流が必要になります。従いまして、まず電圧を上げて高圧電流にする必要があります。この行程を「昇圧」といいます。

昇圧には、電気のもつ相互誘導作用という力を利用します。まず2つのコイルを並べ、一方のコイル(1次コイル)に電気を流します。電流を止めると、直後に一瞬だけもう一方のコイル(2次コイル)に電流が発生します。このときに2次コイルの巻き数を1次コイルより多くすると、それに比例して2次コイルに流れる電流の圧力が高くなります。これが相互誘導作用です。この仕組みを利用した昇圧機構を「イグニッションコイル」といいます。

昇圧の次の行程が「配電」です。点火はシリンダーごとに行うため、高圧電流をシリンダーの数だけ分配する必要があります。この作業を配電といい、「ディストリビューター」という装置が担当します。

ディストリビューターは、回転するローターの周囲にシリンダーと同じ数の突起が置かれた装置で、ローターが回転するとともにローターの先端と突起が触れ合って通電し、電流を各シリンダーに均等な間隔で配分しています。ローターの回転はカムシャフトの回転と同期しており、通常は圧縮行程が終わる直前に着火する仕組みになっています。

ディストリビューターの内部には、「シグナルジェネレーター」という発信機が備えられていますシグナルジェネレーターはローターの回転に合わせて断続的に電気信号を発します。この電流は、「イグナイター」と呼ばれる装置を通過して増幅され、イグニッションコイルの1次コイルの電流として利用されます。なお、現在ではディストリビューターを使用しない「ダイレクト点火装置」という装置も多く使われています。

点火プラグの仕組み

燃焼室内で混合気に点火する装置が点火プラグです。プラグの先端にはプラスの電極である中心電極とマイナスの電極である接地電極とがあり、両極間で空中放電を起こして着火する仕組みになっています。

点火プラグ

点火プラグは、漏電を避けるため絶縁素材であるガイシで包まれていて、その内側にプラス側の電極が通されています。マイナス側の電極は、ガイシの外側のハウジングという金属製の部品に通されています。このように、プラス極とマイナス極が接触しないようにガイシを間に挟んで絶縁する構造になっています。

電極は細いほど放電性が上がります。そのため、電極を細く形づくることができ、耐久性にすぐれるプラチナやイリジウム合金を素材として使用することが多いです。また、これらの素材は放電時に高温になりますので、不完全燃焼で発生する煤を燃やしつくすことができ、メンテナンスの面からも都合が良いです。

まとめ

今回はエンジンの点火を支える非常に重要な部品である点火装置と点火プラグについて、簡単解説しました。電圧を昇圧する仕組みや点火プラグが着火する仕組みや構造は面白いと思いますので、ぜひ楽しんで理解して頂ければ幸いです。

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